pm7:00
ついに来た。
「HELGA'S FOLLY(ヘルガ夫人の愚行)」という名の館へ。
一言で言うと「開けてはいけない扉を開けてしまった。」という感じ。
「な、なんだこの看板.....ちょっと勘弁してよ〜(唾ゴクリ)」
「アキコサン、ココダイジョウブデスカ〜」とウダラさん。
(※自分で検索して予約したホテルの為、ウダラさんも初体験。)
通されたロビー。
暗い。暗過ぎてまったく奥行きが測れない。フラッシュたいてコレ。
上下赤のカンフーファッションを纏ったスタッフに誘われ、ロビー脇のライティングビューローにて、ゲストノートに貴重する。
「ヒィ〜〜〜〜〜、怖過ぎるよ〜〜〜〜〜〜〜(涙目)」
まるでホーンテッドマンション。
「アキコサン、アシタハ10:00でイイデスネ?.....大丈夫デスカ?」
「う、うん.....(涙目)」
「ジャア、トニカクアシタハ10:00ニネ。キヲツケテ。」
「う、うん。今日もありがとう.....(キヲツケテってナニをーーーーー!!!!)」
と少しの会話で、ウダラさん&ウダタさんコンビは凄い勢いで山を下りて行ってしまった。(翌日聞いた話、薄気味悪くて居ても立ってもいられなかったというメンズ2人。)
コヨーテ&サルらしき動物がギャーギャー吠えまくる中、山の涼しい風がヒュ〜ッと肌をなぞる。
ロビーの奥ではシナトラに合わせてふわふわ踊っているカップルが一組。
呼ばれるがまま、なぜか3人で踊ることに。ただし暗すぎてテーブルに脚をぶつけたりもする。
私以外にゲストが居たのね.....と思わずホッ。
カンフーファッションのスタッフ曰く、
「ディナーの20時まではゲストルームでゆっくりとくつろいで下さい。」とのことなので、フランス人カップルに別れを告げて部屋に案内してもらう。
1Fから3Fへ、ゲストルームへの誘い。
コワイコワイコワイ。
んでも内装が素晴らし過ぎるよぉ〜〜〜〜!と、感動MAX!
わたしがセレクトした部屋は、こちらのライオン部屋。
.....というかセレクトも何も、掃除をしている部屋は全30室のうち3部屋程度だそう。
それを聞いた途端、一体何組が宿泊しているの?と疑問点追加。
脳天クラーーーーッシュ!
やはり自室も凄い.....どきついピンクがお出迎え。
箱に乗っただけの便座、バスタブの中に泳ぐ魚。
足下には発狂したくなるほどの大量のアリ.....もう何処でもやっていけるな。と確信した夜。
案の定、まったく落ち着かない.....リネンは、どことな〜くしっとり感有り。
とりあえず、どんな人が泊まっているのかな.....と人を捜しに館内を歩いてみる。
人の気配ゼロ。自分の足音とコヨーテの遠吠えのみ。
廊下に無造作に置かれたベビーベッド。
鍵がかかっていない部屋も、もちろん侵入〜。
他のゲストルームもPOPで楽しいが、蜘蛛の巣有りで雰囲気バッチリ◎
pm8:00
約束のディナータイムになったのでダイニングエリアへ向かう.....
お食事くらいは〜、と賑やかさを期待した私が馬鹿だった。
だだっ広いダイニングルームに、ただ一人。(チ〜ン)
血圧&心拍数上がりっ放し。
濁った何かの食前酒を手渡される。
手元に置かれた燭台にかざして見ないと、何を頂いているのかまったく分からない。
トムヤムクンにチキンカレー、イタリア人顔負けのアッフォガード。
ヤケになって赤ワインを頼むが、またこれが血液にしか見えない.....。
どれもこれも素晴らしいお味に感動し、調子に乗ってコックを呼んでみたりした(笑)
食事中、専属スタッフが隣に付き添い話をしてくれた。
そして蚊にやられた脚に謎のオイルを塗ってくれたりもする、優しい〜。
明日はオランダ人の団体さんで賑やかなんだけどね。とか
コックを合わせてスタッフは10人おり、全員男性。とか
そしてオーナーであるHelgaはこの館の2Fに住んでいると!
.....と、1時間位経ったところで、ダイニングルームの奥からマダム本人がぬらりと登場。
ギャーーーーーーー!!!
館内で逢えたらラッキーと言われている彼女が、なんと目の前に立っているものだから、半狂乱!
白い大きなサングラス(室内は真っ暗なのに)に青磁色の着物の出立ち。
一体暑くないのだろうか.....と呆気にとられてしまったが、こんなチャンスは二度と無いと思い、中学英語と身振り手振りでHelgaに話しかけた。
「東京から来ました、インテリアデザイナーです。32歳です。このホテルのインテリアが見たくて調べてやってきました。そして貴女に逢えるなんて32年間生きていて本当に良かったです!amaging&fantastic&mysteriousで、それはそれは夢の中にいるようです。ああ、何と言ったらいいのでしょうか.....伝わっていますか?」
と、それはそれは酷い英語で語り続けた。
Helgaのサングラスの奥の目は笑みに溢れており、
「何で調べて来たの?HPね。遠いところから訪れてくれてありがとう。私も嬉しいわ。奥にspecial roomがあるからいらっしゃい。」と言い残し、ダイニングルームの奥のゲートに消えていったのでした。
ゲートの奥に消えた彼女は一体何をしているのか分からない。
ただ一つ言えるのは、ミャーミャー猫の声がし始めた。そのゲートの奥から。
コヨーテの遠吠えしかしなかったのに、それをかき消すくらいの声。
考え過ぎだと思いたいが、江戸家猫八師匠の鳴きマネにも聞こえる(笑)
奥を見ようとして立ち上がろうとしたけれど、スタッフが「最後にこのデザートは食べて下さい、美味しいですよ(ニコリ)」とアッフォガードを。
私の頭の中は、
「猫?マダムは何処?え?ゲートの奥は真っ暗だけど.....え?ふたりきり?」
と良からぬ妄想を抱き始めていたが、素晴らしいアッフォガードにも無我夢中だった。
5分後、別のスタッフがゲートの奥から「come.」と呼ばれる。
気がつくと恐怖の猫の鳴き声は消えていて、ゲートの先にHelgaがにこやかに笑っている。
「おかあさぁぁああ〜ん」と心の中で叫びながら、数段のステップを降りてspecial roomへと向かう。
その先には豪華絢爛なHelgaの世界観が広がっていた!
壁にはおびただしい量の彼女や家族の写真、落ちてきそうなシャンデリアに笛吹き男の壁画。そして日本人形に屏風に灯籠。多国籍のアンティークに囲まれた部屋は、サーカスの楽屋といった感じ!
Helgaが先程の出立ちと違っていたのは、頚にカーキ色のコルセットをしていたことだ。
大きな白いサングラスに青磁色の着物にコルセット.....なんつー格好。と思ったけれど、
「My neck is also bad.」とつまらないことを言ってしまった。反省。
内装の素晴らしさに顎が外れそうになっているところを見かねて、Helgaは更に奥の部屋へと案内してくれる。
Helgaはベッドに座っており、微笑んでいる。
「いよいよか?」と唾をゴクリ。
今では馬鹿なことを想像したと後悔しているが、
「暗い室内&ベッドルーム&3名=新しい世界」と勝手に妄想.....。
しかし.....
Helga、本当にごめんなさい!
私がインテリアの仕事をしていると言ったものなので、VIPルームの説明をしてくれると言う。恥。
.....と、彼女はゆっくりとハスキー&スイートな声で語り始めた。
・インテリアの話
・ガンジー等がステイした迎賓館的役割だった館を1950年代にリノベーションしたこと。
・家族で毎日壁画をペインティングして大変だったけれど、それは素晴らしく楽しかったこと。
・Christian Dior でのモデル経験やフランス社交界のこと。
等々
中学生レベルのヒアリングも今日は中々イケる!嬉しい!と感動していると、最後に一枚のショップカードを手渡ししてくれた。
そして「また明日ね。おやすみなさい。」とぬら〜っとHelgaは2Fの自室へ消えて行った。
狐につつまれるとはこのことか....脚ガクガクのひとときが終わった。.
動悸&息切れの救心を飲まなくてはやっていられないよー、もうヘトヘト。
am1:00
当然異常な興奮により眠れるわけない。
部屋でアリと格闘するのも嫌になった頃、この状況と感情を誰かに伝えたい!
と、唯一のWi-Fiコーナーのリビングエリアにやってきた。(深夜のBGMはマリアカラス)
※フラッシュをたいてコレなので、燭台の蝋燭が頼り......
am2:00
女子美っ子達とのLINEでの交信が終了した後、まだまだ散策する勇気が湧いてきてしまったので、他の階の散策開始。
精神的におかしくなってきたピークが多分ここ(笑)
だいぶトリップしちゃってたんだろうなぁ.....と冷静に思う。
突如出てくる壁画にギャーーーーーー!!!!
am3:00
やっと体力が限界に達した模様。
コヨーテとサルの喧嘩にも慣れてきた頃、やっと眠ることができた。
(はぁ.....これを書いている今も、何かに取り憑かれた様にどっぷり疲れた。笑)
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